腰の症状

腰痛症

症状

“腰痛”の文字通り、腰周辺の痛みが主な症状です。場合によってはお尻や太もも裏からふくらはぎにかけて痛みや痺れを伴う場合があります。また、動作時の痛みだけでなく、疲れた時や寝転んでいる状態でも痛みが生じることがあります。
腰が痛い

原因

腰痛症は様々な疾患の総称であり、原因は様々ですが、原因が特定できる疾患(腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎圧迫骨折、腰椎分離症、筋膜性疼痛)による腰痛のことを”特異的腰痛”と言います。一方で、レントゲン等の画像で検査をしても原因が特定できない腰痛を”非特異的腰痛”と言います。そして、非特異的腰痛がかなりの割合を占めています。”特異的腰痛”は明確な原因があることがほとんどです。
ぜひ、下記の疾患より原因をご確認ください。
腰痛の中でも早く発見して治療しないと、重症になってしまうものがあります。その一つが急性腰痛によって椎体転位で、もう一つが化膿性脊椎炎で、適切な治療がなされないと椎体が損傷され、脊髄神経麻痺を生じる危険があります。一方で、”非特異的腰痛”は画像などで明確な原因を特定することはできませんが、様々な研究で身体的要因、心理・社会的要因などの要因が複雑に関わることが明らかになっております。長時間の同じ姿勢での作業、運動不足、肥満、ストレス、睡眠不足、不安、うつなどが代表的な要因となっており、生活習慣の改善や生活環境の改善が必要です。

治療法

まずは診察を行い、レントゲンやMRIを用いて画像検査を行い、腰痛の原因を特定していきます。ただ、画像所見に異常がなく、原因がはっきりしない場合(非特異的腰痛)は、身体的要因に加え、心理・社会的要因が複雑に関わることがあるため、理学療法士によって丁寧な問診と生活習慣の改善や生活環境の改善のアドバイスをさせていただきます。また、腰痛を引き起こす原因となる身体の硬さや筋力低下など身体機能を適切に評価をして、疼痛緩和や機能改善を目的とした運動指導やマッサージなどの運動器リハビリテーションを実施します。その他にも疼痛緩和のために服薬や湿布・塗り薬の処方、神経ブロック注射を併用して、腰痛症の改善に努めます。一方で特異的腰痛の場合は、その原因に合わせた治療を行っていきます。
治療法が気になる方は、腰部脊柱管狭窄症腰椎椎間板ヘルニア脊椎圧迫骨折腰椎分離症・腰椎分離すべり症をご覧ください!

腰部脊柱管狭窄症

症状

この疾患の最も特徴的な症状は、長い距離を続けて歩くことができず、歩いては休憩を繰り返す間欠性跛行があります。腰の痛みはそれほど強くないこと、安静時はほぼ症状がないことも特徴です。腰を反らすと、太ももや膝の下に痛みやしびれが出る一方で、前屈みになったり、椅子に座ったりすると、痛みや痺れがなくなる場合は腰部脊柱管狭窄症の可能性が高いです。症状が進行していくと、足の筋力が低下したり、肛門周囲のほてりや尿が出づらくなる、膀胱直腸障害を引き起こします。

原因

加齢による背骨の変形、椎間板の膨らみ、靭帯の肥厚により、脊柱管と言われる背骨(脊椎)、椎間板、関節、靭帯などで囲まれたトンネルが狭くなります(狭窄)。腰の部分の脊柱管の狭窄により、トンネルを通る神経が圧迫されて、症状が出現します。腰椎の脊柱管は腰を反らすと狭くなり、一方で前かがみになると広くなるため、症状が出現したり、軽減したりします。

治療法

治療は手術療法か保存療法のどちらかになります。保存療法の場合は、運動器リハビリ、コルセットの着用、神経ブロック注射、服薬によって症状の改善を図ります。特に、日常生活上で症状の緩解を図る方法を知ることが必要なため、理学療法士による姿勢指導や日常生活動作の指導が必要です。また、正しい姿勢を維持するために必要なストレッチや筋力トレーニングについても指導します。歩くことが困難になり、日常生活に支障が出る場合は手術を行います。手術が必要と考えられる方には手術が可能な病院をご紹介いたします。手術後のリハビリは当院で可能ですので、ぜひご受診ください。

腰椎椎間板ヘルニア

症状

腰椎椎間板ヘルニアのよくある症状は、腰やお尻周辺の痛み、どちらか一方の脚へ拡散する激しい痛みやしびれがあります。症状が強い場合、動くことができず、また睡眠を妨げるほどの痛みを伴います。その他にも排便や排尿の障害を認めることがあり、日常生活に支障をきたすことがあります。
腰が痛い

原因

腰の背骨(腰椎)の間にある椎間板というクッションを構成する一部の組織(髄核)が飛び出し、腰椎の後ろ側にある神経を圧迫することで起こります。加齢や激しいスポーツの繰り返し、悪い姿勢での長時間の動作・作業により、髄核を覆っている線維輪が破れることで、症状が出現します。

治療法

痛みが強い場合は、コルセットを着用するなどして、できるだけ安静を心掛けます。ただ、安静期間が長くなりすぎると、筋力低下などが起き、再発を繰り返す身体になってしまうため、早期の疼痛緩和が必要です。当院では、消炎鎮痛剤の服用や神経根ブロックを行い、痛みのコントロールを行います。また、痛みに合わせて、理学療法士による運動器リハビリを行います。症状が悪化しないために、筋力強化や日常生活動作の指導を行い、患者様一人ひとりに合わせた治療を行います。腰椎を牽引することも効果があることから、牽引器を使った物理療法も当院では受けることができます。症状がある方、不安がある方はぜひご来院ください。

脊椎圧迫骨折

症状

転倒して尻もちをついたことをきっかけに、「背中」や「腰」に痛みが出る場合は、脊椎圧迫骨折の疑いがあります。転倒しなくても骨折を生じることがあり、いつのまにか骨折をしている場合もあります。症状が強い方の中には、起き上がる際や寝返りの際に痛みを感じ、睡眠を妨げる原因になります。その他、背中が丸くなってきたことが気になる方も脊椎圧迫骨折の可能性があります。骨折の部位と痛みの部位は同じでないこともありますので、背中や首が痛いときは圧迫骨折を疑う必要があります。

原因

原因は3つに分類されます。
1つ目は骨粗しょう症が原因のものです。重い物を持ったりすることで胸椎(胸付近の背骨)と腰椎(腰の背骨)の中間地点である胸腰移行部に負荷がかかり骨折することがあります。
2つ目は尻もちなどの転倒によって、大きな外力・衝撃が加わることで骨折することがあります。
3つ目は腫瘍の転移によるものです。腫瘍が骨にある場合は、その部分が脆弱になり、わずかな外力(座るなど)で骨折することがあります。これを病的骨折といいます。

治療法

骨粗しょう症や強い外力による圧迫骨折の場合、痛みに合わせて治療法を選択していきます。痛みが強く動くこともままならない場合は、入院することもあります。入院を必要としない程度の場合は、痛み止めの薬を処方したり、ギプス、コルセット、装具などで患部を固定して、前かがみになる動きを制限したりします。安静が長期間に及ぶと寝たきりになる恐れがあるため、痛みに合わせて理学療法士による歩行練習などの運動療法を行っていきます。骨折により骨の変形が強い場合や治癒しても骨折部分が不安定な場合は手術が必要になります。

予防

脊椎圧迫骨折を起こす高齢者の多くは骨粗しょう症を原因とする場合が多いです。骨粗しょう症を早期発見すること、骨粗しょう症になる前に骨の状態を把握して骨粗しょう症を防ぐことが非常に重要です。当院では骨密度検査を実施しておりますので、少しでも気になる方はぜひ当院にご相談ください。

腰椎分離症・腰椎分離すべり症

症状

主な症状は、腰の痛みとお尻や太もも裏の痛みやしびれ(坐骨神経痛)です。腰部脊柱管狭窄症と同様、長い距離を続けて歩くと、お尻や脚の痛みやしびれが強くなります。座るなどの休憩によって回復するため、歩くことと休息を繰り返す間欠性跛行があります。(腰部脊柱管狭窄症をチェック!)

原因

腰椎分離症の主な原因は、思春期のスポーツ活動における繰り返すジャンプや腰の捻りによって引き起こされます。結果的に、腰の骨(腰椎)の後方部分が疲労骨折した状態を腰椎分離症と言います。腰椎分離症の場合は、その疲労骨折した骨に痛みを伴う他、その痛みをかばう形でその周りの腰の筋肉が硬くなることで痛みを生じることが多いです。
思春期に発症した腰椎分離症を原因として、腰の骨がずれて神経を圧迫している状態が腰椎分離すべり症です。

治療法

腰椎分離症・腰椎分離すべり症の治療は、疼痛を軽減するために消炎鎮痛剤の服薬や湿布を処方します。腰の動きを制限して負担を軽減させるためにコルセットを着用を支持することがあります。痛みが強い場合は、神経ブロック注射を行うことがあります。また、これらの治療に加えて、当院では理学療法士による運動器リハビリを実施しております。腰に負担をかけている原因となる腹部の筋力低下や太もも裏の筋肉の柔軟性の低下などを確認し、ストレッチや筋力トレーニングを行います。それでも痛みが改善しない場合は、手術療法を検討していきます。手術が必要と考えられる方は適切な治療を受けられる病院をご紹介いたします。手術後のリハビリは当院で受けることができますので、ぜひご受診・ご相談ください。