肩腱板損傷・肩腱板断裂
症状
肩を動かしたときの痛み(運動時痛)や夜中寝ているときの痛み(夜間時痛)、腕が上がらないといった症状が代表的です。肩を90°程度動かしたときに痛みが生じ、それより上に上げると痛みが消失するpainful arc sign(ペインフルアークサイン)が特徴です。初期は痛みを伴いながらも、腕を上げることができますが、症状が長期化すると、肩関節の動きが悪くなり、腕を上げられず、日常生活に支障をきたします。進行して凍結肩を生じることもあります。また、無症候性腱板断裂といって、腱板が切れていても、全く症状がないこともあります。
原因
腱板とは、不安定な肩関節を安定化させるためにある4つの筋肉の総称です。腱板は骨と骨の非常に狭いところに存在しており、転倒で手をついた時や、投球動作等の反復動作、加齢による腱板の老化などで引き起こされます。
治療法
保存療法と手術療法がありますが、70%程度は保存療法で痛みが改善することが多いと言われております。保存療法では、主に注射を行います。これは診断と治療をかねていて、注射で痛みが取れないときは、他の原因がある可能性や断裂による痛みであることがわかります。症状に合わせて、局所麻酔剤やステロイド剤、ヒアルロン酸の注射をします。合わせて、消炎鎮痛剤の内服などを行い、痛みの軽減や動きの改善を図ります。
また当院では、理学療法士による可動域改善のための運動や動きの制限をする筋肉のマッサージ、姿勢改善や日常生活動作の指導、筋力強化を行い、症状の改善や悪化の予防を図ります。ただ、保存療法で痛みや動きが改善しない場合は、手術療法を選択します。当院では手術ができる病院を紹介します。手術後のリハビリテーションも行っていますので、まずはご受診して、医師による診断を受けてください。
肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
症状
肩関節の痛み、肩関節の動きが悪くなる症状が出ます。痛みには運動時痛と夜間時痛があります。動かすときの痛み(運動時痛)や動きの制限により、髪を整えるために腕を上げることや服を着脱するために腕を後ろに回したりすることができなくなり、日常生活に支障をきたします。また、夜にズキズキとした痛みが生じます(夜間時痛)。痛みが強くなったり、症状が長く続くと不眠症になることが多いため、早めの受診と治療が重要です。
原因
明確な原因は明らかになっておりませんが、中年以降、特に40歳代~50歳代に多く見られることから、老化により肩関節の周りの筋肉・腱・靭帯等の組織に炎症が起こることで症状が出ると考えられています。
炎症が長期化すると、肩峰下滑液包と言われる肩関節をスムーズに動かすスペースや関節包と言われる関節の周りにあるスペースが閉ざされて(癒着)、さらに動かすことが困難になります。そういった状態のことを拘縮や凍結肩と言います。
治療法
自然に治癒するケースもありますが、拘縮や凍結肩の状態になると、治療が長引いてしまったり、肩関節の可動域制限が残ってしまう場合があるため、早めの受診と治療をしてください。
痛みや炎症が強い時は、三角巾などを使って、肩関節を安静にします。安静期間が長引くと拘縮や凍結肩に陥るため、消炎鎮痛薬の内服やステロイド注射、ヒアルロン酸注射によって、痛みの軽減を図ります。また当院では、理学療法士による可動域改善のための運動や動きの制限をする筋肉のマッサージ、姿勢改善や日常生活動作の指導、筋力強化を行います。痛みの状況に合わせた治療が可能ですので、痛みが強くなる前、動きが悪くなる前にご受診ください。