腎不全のサイン?!
みなさん、健康診断などで採血をされると思いますが、結果を見て気になる事などありませんか?
今回は見落とされがちな腎機能についてお話ししようと思います。
当院では主に、尿素窒素・クレアチニンを測定しています。
これらは、腎臓でろ過されて尿と一緒に排出される老廃物の一つです。これが体内(血中)に増えると腎臓でろ過される量の限界を超え、ろ過されずに血中に残ります。その量を測定しています。
この尿素窒素・クレアチニンの数値が上がると腎臓の機能低下を意味します。
悪化すると腎不全となることがあり、以下のような症状が出てきます。

お薬によっては腎臓や他の臓器に負担がかかる事もあります。
この数値が上がってきたら、強い薬は飲む回数を減らす・量を調節するなどの対応を行います。また腎臓に負担の少ないお薬へ変更も考えます。
このような薬の副反応のチェックのためにも、当院では採血が行われています。
ただし、腎不全のサインがでてるかもと思われた方は泌尿器科を受診される事をお勧めします。
2024年10月31日
フレイル~Part5~
フレイルは、身体的な機能低下だけでなく、精神的・心理的な健康や社会的なつながりの減少も大きな影響を与えます。これらの側面が悪化すると、フレイルの進行を加速させ、生活の質を大きく損なうことになります。本記事では、フレイルにおける精神的・心理的・社会的な側面の重要性と、その対策について詳しく解説します。
精神的・心理的側面
フレイルにおける精神的・心理的な側面は、個人の気分や感情、思考の変化に関連します。フレイルの進行により、以下のような心理的な変化が起こりやすくなります。
- 抑うつ
- 高齢者は、身体機能の低下や社会的孤立により抑うつ状態に陥りやすくなります。抑うつは、エネルギーの低下や意欲の喪失を引き起こし、活動量が減少することでフレイルが進行しやすくなります。抑うつの症状が見られる場合、早期に専門家の助けを求めることが重要です。
- 不安
- 身体機能の低下や将来への不安が、心理的なストレスを引き起こすことがあります。特に、転倒や病気に対する不安は、過度な用心や外出の回避を招き、社会的なつながりの減少につながります。この不安を軽減するためには、適切な情報提供やサポートが必要です。
- 意欲の低下
- フレイルに伴う疲労感や身体的な制約により、日常生活への意欲が低下することがあります。この意欲の低下は、さらに活動量を減少させ、フレイルを進行させる悪循環を引き起こします。小さな目標を設定し、それを達成することで自信を取り戻すことが有効です。
社会的側面
フレイルの進行は、社会的なつながりにも大きな影響を及ぼします。社会的孤立や孤独感は、フレイルのリスクを高め、精神的・心理的な健康にも悪影響を与えます。
- 社会的孤立
- 高齢者がフレイル状態になると、外出や社会活動への参加が減少し、結果的に社会的なつながりが薄れることがあります。これにより、孤独感が増し、精神的な健康が悪化しやすくなります。地域のコミュニティやボランティア活動に参加することは、社会的孤立を防ぐ効果的な方法です。
- 家族との関係
- フレイルは、家族との関係にも影響を与えることがあります。高齢者がフレイル状態になると、介護の負担が増すため、家族内でのストレスが高まることがあります。家族との良好なコミュニケーションを保ち、サポート体制を整えることが重要です。
- 経済的な問題
- フレイルによる身体的・精神的な健康の悪化は、医療費や介護費用の増加を引き起こす可能性があります。これにより、経済的な問題が発生し、さらに精神的なストレスが増大することがあります。経済的な負担を軽減するための公的支援制度や保険制度を活用することが推奨されます。
精神的・社会的側面を強化するための対策
フレイルの精神的・社会的側面を強化するためには、以下の対策が有効です。
- 定期的なコミュニケーション
- 家族や友人との定期的なコミュニケーションを維持することは、孤立感を軽減し、精神的な安定を保つために重要です。電話やビデオ通話を活用して、遠くに住む家族ともつながりを保つことができます。
- 社会参加の促進
- 地域の活動やボランティアに参加することで、社会的なつながりを強化し、孤独感を軽減することができます。また、新しい趣味や興味を見つけることで、日常生活に楽しみを見出すことができます。
- メンタルヘルスケア
- 精神的な健康を維持するために、心理カウンセリングやグループセラピーを利用することが有効です。また、リラクゼーション法や瞑想など、ストレスを軽減する方法を取り入れることも推奨されます。
- 経済的支援の活用
- 公的な支援制度や保険制度を活用して、経済的な負担を軽減することが重要です。特に、医療費や介護費用に対する支援を受けることで、精神的なストレスを減らすことができます。
結論
フレイルは、身体的な健康だけでなく、精神的・心理的、そして社会的な側面にも大きな影響を与えます。これらの側面を無視することなく、総合的なアプローチで対策を講じることが、フレイルの進行を防ぎ、生活の質を向上させるために不可欠です。社会的なつながりを維持し、精神的な健康を保つことが、フレイル予防において重要な役割を果たします。高齢者自身やその家族、コミュニティ全体で支え合い、フレイルに対処していきましょう。
2024年10月24日
フレイル~Part4~
フレイルは、高齢者が直面する健康問題の一つであり、身体的・精神的な機能の低下が複合的に現れる状態を指します。フレイルが進行すると、日常生活の自立が困難になり、最終的には介護が必要になる可能性が高まります。本記事では、フレイルの主な原因、加齢との関連性、そして要介護について詳しく解説します。
フレイルの原因
フレイルの原因は多岐にわたりますが、大きく分けると次の3つに分類されます。
- 身体的な要因 フレイルの主要な原因の一つは、身体的な機能の低下です。これには、筋肉量の減少(サルコペニア)や骨密度の低下(骨粗鬆症)、心肺機能の低下が含まれます。特に筋肉量の減少は、筋力やバランス感覚の低下を引き起こし、転倒や骨折のリスクを高めます。また、慢性疾患(糖尿病、高血圧、心疾患など)も身体機能の低下に寄与し、フレイルの進行を促進します。
- 栄養状態の悪化 不適切な栄養摂取は、フレイルの進行を助長します。高齢者は、食欲の低下や消化機能の低下、孤独感や経済的困難などの影響で、栄養バランスが崩れがちです。特にタンパク質やビタミン、ミネラルが不足すると、筋肉や骨の健康が損なわれ、身体機能がさらに低下します。
- 社会的・精神的な要因 社会的な孤立や心理的なストレスも、フレイルの重要な原因となります。家族や友人との交流が減少し、社会活動への参加が制限されると、精神的な健康が損なわれ、意欲の低下や抑うつ状態が生じやすくなります。こうした状況が続くと、身体的な活動量も減少し、フレイルが進行しやすくなります。
フレイルと年齢の関係
フレイルは主に高齢者に見られる状態であり、加齢とともにそのリスクが高まります。しかし、年齢そのものが直接の原因ではありません。フレイルは、年齢に伴う身体的・精神的な変化に対する不適切な対処や、生活習慣の影響によって引き起こされます。
例えば、加齢により筋肉量が減少することは避けられませんが、定期的な運動や適切な栄養摂取を維持することで、その影響を最小限に抑えることが可能です。また、社会的なつながりを持ち続けることで、精神的な健康を保ち、フレイルの進行を防ぐことができます。
フレイルと要介護
フレイルが進行すると、日常生活における自立が困難になることが増え、最終的には介護が必要になることがあります。フレイルの状態では、以下のような日常生活の困難が生じることが多いです。
- 移動や歩行の困難 フレイルの進行に伴い、筋力やバランス感覚が低下すると、歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まります。これにより、外出が困難になり、さらに活動量が減少するという悪循環が生まれます。
- 食事や栄養管理の難しさ フレイルの高齢者は、食事の準備や摂取が難しくなることがあります。これにより、栄養バランスが崩れ、さらなる身体機能の低下を引き起こす可能性があります。介護が必要になると、食事のサポートや栄養補給が重要な課題となります。
- 社会的な孤立 フレイルにより、社会活動やコミュニケーションが減少すると、精神的な健康が悪化し、抑うつや不安が増大します。これにより、さらなるフレイルの進行が進み、介護の必要性が高まります。
フレイルを防ぐための対策
フレイルの進行を防ぐためには、早期の対策が重要です。具体的には、以下のような対策が有効です。
- 適度な運動 筋力トレーニングや有酸素運動を定期的に行うことで、筋肉量を維持し、身体機能の低下を防ぐことができます。特に、ウォーキングや軽いストレッチなどの運動は、日常的に取り入れやすいものです。
- バランスの取れた食事 栄養バランスの良い食事を心がけ、特にタンパク質やビタミン、ミネラルを十分に摂取することが重要です。また、食事を楽しむことが、食欲の維持にもつながります。
- 社会的なつながりを保つ 家族や友人との交流を積極的に持ち、地域の活動に参加することで、社会的な孤立を防ぎます。これにより、精神的な健康が保たれ、フレイルの進行を抑えることができます。
- 定期的な健康チェック 医師の診察や健康診断を定期的に受け、フレイルの兆候を早期に発見することが重要です。これにより、必要に応じて早期の対策を講じることができます。
結論
フレイルは、加齢とともにリスクが高まるものの、適切な対策を講じることでその進行を防ぐことが可能です。フレイルの原因を理解し、日常生活の中で予防策を取り入れることで、高齢者が健康で自立した生活を続けることができます。また、フレイルが進行した場合には、早期に介護のサポートを受けることが重要です。フレイル予防の意識を高め、健康寿命の延長を目指しましょう。

2024年10月10日